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海外の終活事情とは?アメリカ編

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日本では終活が広がりを見せ、幅広い世代が知っている言葉になりました。実は日本だけでなく、生前のうちに相続財産や葬儀、お墓について決める終活に取り組んでいる国があることを知っていますか?

今回はアメリカの終活事情として、どのような老後の計画や死後のための手続きを行っているのかご紹介します。日本との違いなど、アメリカならではの終活事情を見ていきましょう。

アメリカの終活事情

アメリカでは「終活」を意味する具体的な言葉ありません。しかし、アメリカでは生前のうちから相続財産の把握と分配についての対策、相続についての準備を進めている方が多くいることが現状です。

特に近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で死生観が変わり、早めに終活を進める方が世界中で増えているのです。アメリカではアメリカンドリームという言葉があるように、一代で大きな財を成した方もいます。

そのような富裕層はご自身の死後に、遺族間での遺産トラブルを防ぐために、早めに遺言書を作成したり生前の財産設計をしたりと、金銭にまつわる終活を積極的に行っているのです。

また、アメリカでは里親制度が充実し、発展しているように、子供を第一に考えた生活スタイルを送っている家庭が多いです。もちろん日本でも子育てに熱心に取り組んでいる家庭が多いですが、アメリカは血のつながっていない子供に対しても、きちんと相応の遺産が相続されるような環境が日本よりも整っているのです。

アメリカの「エステートプランニング」について

アメリカでは「エステートプランニング」という独自の財産設計があります。これはご本人が亡くなったあとに残された財産を、どうやって分配して相続するのか、またどうやって活用するのかを決めておく財産設計のことです。

このエステートプランニングは、財産にまつわる委任状などを作成するほか医療に関することも書類で作成することが特徴。ご自身の病気や亡くなったあと、誰に財産を管理してもらうのか、譲るのかといった詳細を公式な書類で残しておけるのです。

  • Living Trust…生前信託
  •  Will…遺言
  • Power of attorney for finances…財産委任状
  •  Power of attorney for medical…医療委任状

生前のうちに信託したいものを記す生前信託の書類や、財産委任状、医療委任状、さらに遺言書も作成します。エステートプランニングはこの4つの書類を作成し、ご遺族のために計画的に資産を管理して、スムーズに相続するといったスタイルが定番なのです。

遺言状に書く内容は、財産になる銀行口座、不動産、株式や車、家具といったあらゆるもののリスト、住宅ローンといった負債までリスト化します。

さらに万が一両親とも亡くなった場合、誰が子供の保護者となるのか養育者に関する記載があることも、アメリカの遺言状の特徴です。

州によって法律が違うアメリカ

アメリカの終活で注意したいところは、州によって法律が違うことです。そのため、エステートプランニングには、専門のエステートローヤーという財産設計専門の弁護士に依頼することが一般的です。

まずは住んでいる州の法律に精通したエステートローヤーを探して、そこから自身が希望する内容を記した書類を作っていくのです。アメリカは老後に終活をはじめるというよりも、残される子供たちのことを考えて子育て世代のうちからエステートプランニングを進める家庭が少なくありません。

日本と異なる死生観

アメリカと日本では主な宗教も異なります。日本は仏教が多い中、アメリカはキリスト教が全体の7割を占めています。キリスト教の中でも「カトリック」と「プロテスタント」「正教会」の3つに分けられており、それぞれ同じキリスト教でも細かい部分が異なります。

アメリカでは日本の葬儀にあたる、ビューイングという故人と面会をする場を設けるスタイルが定番です。お通夜は日本の仏教では取り入れられていますが、キリスト教では前夜式として執り行われることがあります。

また、仏教とキリスト教の大きな違いは火葬と土葬という埋葬方法が異なる点です。もう1つの違いは、アメリカでは故人のご遺族が死亡広告を出すことが一般的です。

つまり死がプライベートなものというよりも、知人や友人に知らせるように広告によって幅広く伝える文化があるところも、日本との死生観の違いの1つと言えるでしょう。

まとめ

アメリカでは終活という言葉はないものの、財産承継をスムーズに進めるエステートプランニングという文化が浸透しています。これは富裕層だけに限らず、子育て世代など一般家庭においても残される子供のために考える方が多くいます。

終活は何歳になったらはじめるというよりも、30代などの若いうちからスタートしても決して早くはありません。アメリカのようにご自身の財産を把握し、亡くなった後にどう承継するか決めておくことは豊かな人生にもつながっていくことでしょう。

投稿者プロフィール

大和泰子
大和泰子
株式会社 WishLane 代表取締役
一般社団法人包括あんしん協会 代表理事
【資格】
おひとりさま終活士
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
終活アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー

家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居の幸せ家族。
独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った。そして幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と熱い想いから、おひとりさま・おふたりさまの支援の実務をスタート。
「お金」「心身」「人」の3要素が環境や年齢とともに一人で自力ではどうにもならない時が訪れます。その時に、私たちが家族のように寄り添うサポート事業を運営。
まt、このような支援が出来る「おひとりさま終活士」の輩出活動中。

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